コメントは受け付けていません。

comment for 「未完のファシズム」を読んで





 
カエルをクリックすると投稿できます。
トラックバックは受け付けていません。

トラックバック

web拍手 by FC2

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
category : スポンサー広告  comment : × track back : ×

「未完のファシズム」を読んで

この本は今年の正月に夢中になって読んでいたのだが、紹介が遅れてしまった。
何で今頃紹介することになったかと言うと、この間の参院選挙で感じた危機感からだ。

未完のファシズム

立候補者のあまりの小粒ぶりに、日本の将来は大丈夫か?そもそも、こんな能力のなさそうな連中を国会に送る理由があるのか?誰も選びたくなくないような人しかいない参議院というものが、そもそも必要なのか?
という素朴な疑問から連想したのがこの本だ。

わしはこの数十年、近現代日本史を研究して来た。といっても人が書いた本を読んでただけだが。
それというのも、ずっと疑問に思っていたことがあったからだ。それは、
「なぜ負けると分かっていたはずの太平洋戦争に突入して行ったのか?」ということだ。

こんな疑問も、現代だからこそで、当時の日本人はそんなこと考えもしなかったことだろう。一般の日本人は必ず勝つと信じていたはずだから(少年Hは別らしいが)。

今まで読んだ本から、おおよその歴史を風景化することは出来ていたと思っていたのだが、この本は更に別の視野を与えてくれた。
まるで、月探査機「かぐや」のように地表数十メートルの高さから立体的に俯瞰したような視点だ。今までの本は、多かれ少なかれ、現代的な価値観から戦前戦後の日本人を判断したり、糾弾してたりしていたが、それは後出しじゃんけんで、既に結果が分かってるから出来る批評なのだ。そのことに違和感を感じていたのだが。この「未完のファシズム」はそのような後出しじゃんけん的なずるさが無かった。
この本はずばり、日本人の思想史なのだ。特に旧日本陸軍のエリートたちの。

つねづね疑問に思っていた、当時のベスト&ブライテストだったはずの陸軍大学出の将校たちが、なぜあのような行動をとったのか、という謎が、この本によって氷解した気がする。

日露戦争の反省に立って、第一次世界大戦に参戦した時、青島攻略戦ではヨーローッパ戦線よりも先に近代砲撃戦を敢行し、きれいに勝利したこと(これは知らなかった)。その時に初めてアジアで空中戦が行われた。空母導入も初である。それほど、科学的な戦術を試みて成功した陸海軍が、なぜ、第2次世界大戦のときは「精神力で敵を凌駕する」といった思考になって行ったのか、なぜ、玉砕が「戦法」になったのか、ということが、思想史から解き明かされてゆく。キーワードは「持たざる国対持てる国」だ。

また、永田鉄山、小畑敏四郎、石原莞爾と宮沢賢治、田中智学の国柱会、など、おなじみの登場人物の分析も分かりやすく、初めて知った人物、中柴末純の思想がどれほど影響したかも良く分かった。中柴末純は東条英機のブレーンで「戦陣訓」の起草者である。統制派と皇道派の違いも理解しやすかった。

これは、日本人を研究するものにとって必読の書である。作者の片山杜秀氏には、次回は海軍の視点からの分析をお願いしたい。

というわけで、最初の参院選にもどると、日本人は、過去から決められない組織作りばかりして来たんだな、と。それは、小粒の人間の寄り合い所帯で、なんとか意見を寄り合わせて、談合したり統合したり、足して2で割ったりと、そうして小さな世界で生きて来たんだな、と、改めて思った訳だ。
憲法や立法するときも、日本人は顕教としての条文と、密教として法の精神を使い分けるのだが、いつの間にか密教部分はなくなり、文面だけが生き延びて、「精神力」で戦い、「平和憲法」で平和だった、という思考になって行くわけだ。言霊の国らしい。朱子学とはまた違う思考回路が見て取れる。



スポンサーサイト
category : ブログ  comment : 0  track back : 0
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。