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ロレンスがいたアラビア

『アラビアのロレンス』と言えば、デヴィッド・リーン監督、ピーター・オトゥール主演の映画で有名なあれだ。イギリス映画にしては雄大な映画だった覚えがある。

ロレンス

その主人公であるT・E・ロレンスの目線を通して、アメリカ人ジャーナリスト、スコット・アンダーソンが第一次世界大戦の中近東を舞台に国際情勢を描ききった作品だ。
第一次世界大戦史は色々な作品で研究したが、アラビアを舞台にしたものは良い作品がなく、どれも分かりにくかったので、片手落ちだな、と思っていた時に出会いました。
その、分かりにくい状況を、分かり易く、見事に活写してくれた。
今に続く中近東のこんがらがった不和、それどころか、憎しみの連鎖はどこから来たのか。日本人にはいまいち分からない世界が、実に良く見えるようになった。そうだったのか〜。と感心しきり。
主人公であるT・E・ロレンスの人物造形も興味深いが、当時のプレイヤー達の人物描写も面白い。
よく悪し様にい合われる「サイクス=ピコ条約」のマーク・サイクスとはどのような人物だったのか、とか。ロレンスのカウンター・パートナーであったファイサル王子とはどのような人物だったのか、とか・・・。

今では信じられないが、第一次世界大戦が終結する頃、パレスチナやシリアの委任統治を英仏ではなく(とても信用できなかったから)、アメリカに任せたいと、ユダヤ人にもパレスチナ人にもアラブ人も熱望している人々がいたという。
しかし、実際にそうなることはなかった。ウッドロー・ウィルソンの「14ヶ条の平和原則」で描かれている「民族の自決」などというものは英仏に鼻も引っかけられなかったし、中東に無知で素人のアメリカ人が来ても、混乱を招くだけだろうとアメリカ自身の(野党の)判断もあったからだ。

歴史にもしはないと言うが、もしあの時、とつい思ってしまう。T・E・ロレンスが目指していたようにアラブの独立国が出来ていて、ファイサル王子とシオニストのハイム・ワイツマンの協定が生きて、ユダヤ人のパレスチナ入植が穏健なものであったら、現在はどうなっていただろう。と、つい想像してしまう。

人類はいつも正しい選択をしていた訳ではないが、なんとか現代まで生き延びて来られたのは、何とかしたいと思っていたからだろう。そんなことを考えさせられる作品だった。
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